なぜ「大人に絵本」なの?

私は、絵本は子どものものだと思っていました。

だから、息子たちが小さいうちは楽しく家で絵本を読んであげて、ある程度大きくなったら卒業・・・

そう思って、長男が中学生になる前の春休み、家にあった絵本や児童書の多くを処分してしまいました。

手放した後の喪失感は、自分でも予想外のものでした。

なんだろう、この寂しさや後悔の気持ち・・・

 

そんなモヤモヤを抱えていた時に、この講座に出会いました。

「大人に絵本ひろめ隊🄬 入門講座」

ここで知ってしまったのです。

「大人に絵本」のすごさを!

 

「大人に絵本」で起こること

実は、大人と子どもの絵本の読み方は、脳の観点からも全く違うと言われています。

子どもは、絵本を読んでもらう時、そのまま物語を「体験する」ように受け取ります。

実際、実験では、子どもの脳は、言語や論理的思考をつかさどる「前頭連合野」には活動が見られず、情動や感情に関係する「大脳辺縁系」が活性化していたそうです。

つまり、言葉から「理解」するのではなく、絵とお話から感情を動かされる「体験」をしているのです。

ところが、大人は、絵本のシンプルな文章の行間を、自分の体験や知識、価値観で補って読み取ります。

一人一人、今まで生きてきた人生は違いますから、絵本の行間に入り込むものはおのずと違ってきます。

そのため、同じ絵本を同じ時に読んでも、人によって感じ方や気になるところがバラバラだったりするのです。

 

「大人に絵本」の楽しみ方

これは、実際に大人が絵本をどう受け取るか、という体験をしてもらえれば、すぐに実感できます。

ただし、自分で文字を追う読み方では絵本の本来の力が発揮できません。
絵本は誰かに読んでもらい、物語を耳で聴きながら「絵を読む」ように作られているからです。

絵本セラピーでは、絵本セラピストが大人の参加者に、絵本を読んでお聞かせします。

その後、その絵本から感じたことを分かち合ったり、セラピストから出された「問い」に対する答えや思いを、みんなで話し合ったりします。

同じ絵本を読んでもらった大人同士は、物語の疑似体験を共有し話が弾みます。

同じ物語に対する感想が全く違っても、絵本という利害関係のない世界では、それを受容し共感できます。

そうして絵本を介したコミュニケーションを通して、初対面の大人同士があっという間に旧知の親友のように仲良くなることも珍しくありません。

 

大人に絵本の効果・効能

大人は、多くの場合、絵本の行間を自分の知識、経験、価値観で補い、無意識に心を投影しています。

しかし、それを黙って自分で感じているだけでは、自分の「心の投影」だとは気づけません。

グループで、感じたことを分かち合うことで、自分が「普通」「当たり前」と思っていたことが、他の人にとってもそうだとは限らないことに気がつきます。

通常、私たちが暮らす世界では、意見の違いは「対立」を生みがち。

自分と違う考えは「おかしい」と。

でも、絵本を通じて、人は自分と違う世界を見ているのだということを知ると、違いを受け入れたり、歩み寄れたりしやすくなります。

そうして、大人が絵本を読みあう「場」から、波紋のように平和が広がっていく・・・

そうなったら、素敵だと思いませんか?

 

参考文献

「絵本はこころの処方箋」(岡田達信著 瑞雲舎)

「絵本はこころの架け橋」(岡田達信著 瑞雲舎)