10月9日の朝日小学生新聞の1面に、こんな記事が載っていました。
「日本と韓国 知ることで仲良く 『おとなりどうし にほん、かんこく、絵本でこんにちは』」
リード文には以下のようにあります。
「日本と韓国の仲が悪くなっていると伝えるニュースが、続いています。子どもの本の作家らは今月、『お互いを知ることが大事』と、大阪市の書店で韓国の絵本などを集めたフェアを始めました。知ることが仲良くなるための一歩、という思いがこめられています。」
一時期、韓流ブームがあり、韓国ドラマなどに夢中になった人たちは、すごくディープに韓国のことを知っているでしょう。
韓国の文化、習慣をよく知り、韓国人の友人と交流し、韓国人のスターを応援し、もしかしたら韓国語も話せるかもしれません。
そうなれば、現政権がどれだけ日本のことを悪く言おうが、「韓国嫌い!」とはならないでしょう。
しかし、その他の人はどれほど韓国のことを知っているでしょう。
ニュースや報道から一方的に与えられる情報だけでは、嫌な気持ちばかり拡大しかねません。
こんな時、韓国を知ってもらうために、書店で韓国の絵本フェアをやるというのは、とてもいいアイディアだと思います。
韓国に限らず、絵本に描かれた風景や人々の暮らしに憧れたり、登場人物をとおしてその国の人に親近感を持ったりしたことはありませんか?
たとえば、絵本ではありませんが、赤毛のアンに夢中になって、プリンスエドワード島に憧れた人は多かったのではないでしょうか。
元気で明るいアンにも、好感を持ったことでしょう。
私は、スリランカの絵本を読んで、豊かな森と大らかな登場人物に親しみを持ったことがあります。
韓国では、絵本セラピスト協会の代表、岡田達信氏の著書「絵本はこころの架け橋」「絵本は心の処方箋」も韓国語に翻訳され、出版されています。


代表は、韓国に行って、何個所かの町で実際に絵本セラピーを実施してきました。
たくさんの人が集まり、熱心にセラピーに参加し、反応も日本で行うのと大差なかったと言います。
民間レベルでは、けっしていがみあったりしないで、仲良くできるのに、どうしてこうなってしまったのでしょう。
今回のフェアで、選書を担当したメンバーの一人、韓国出身で絵本の研究をしている申明浩(シンミョンホウ)さんは言います。
「日本の子たちには、同じ絵本を韓国の子たちも読んでいるということを知ってほしい。『同じものが好き』が、交流の入り口になれば」
確かに、外国人の友だちと共通の思い出の絵本があったりしたら、ぐっと心の距離が縮まるような気がします。