2020年はねずみ年ということで、ねずみが主人公の絵本を紹介しています。
昨日は、「ねずみのとうさんアナトール」を紹介しました。
今日はこれ、「歯いしゃのチュー先生」(ウィリアム・スタイグ:文と絵 うつみ まお:訳 評論社)
日本語版の初版は1991年。ロングセラーの部類に入るでしょう。
作者のウィリアム・スタイグは、世界三大絵本賞の一つで芸術性の高い絵本に贈られると言われるコールデコット賞に選ばれたことがある作家で、この作品も1983年に全米図書賞、1984年にオランダ銀の絵筆賞を受賞しています。

チュー先生は、うでききの歯医者さんです。
小さい動物から、大きい動物まで、毎日患者さんが絶えません。
でも、ねずみですから、ネコなどの危険な動物はおことわり。
しかし、あるひ、ほっぺをほうたいでぐるぐるまきにしたキツネの患者さんが来ます。
「ちりょうはできません!」というチュー先生に、キツネは「すごくいたいんです!」となみだをぽたぽたたらしました。
結局、チュー先生はキツネの治療をしてあげることにします。
しかし、このキツネ、治療の最中からチュー先生を食べたくてたまらなくなってしまいます。
チュー先生と助手の奥さんもそれに気づき、一計を案じます。
キツネの下心を見抜きながらも、「いったん仕事を始めたら、私はなしとげる!」ときっぱりというチュー先生が男前でかっこいい!
しっかり仕事をしながらも、まんまとキツネにいっぱい食わせてやったチュー先生のお話はなんとも痛快です。
このお話では、チュー先生の仕事へのプロ意識と人間性(?)を感じます。
自分を食べるかもしれない危険なキツネといえども、歯が痛くて困っているのを歯医者としては見捨てておけない。
その、歯医者としての使命感とプロ根性は一流です。
たとえ恩人だとしても、食べたくなってしまうキツネの習性を知って、油断なく知恵を働かせて難局を乗り切る賢さ。
奥さんとのパートナーシップも絶妙です。
久しぶりに読んで、大人が共感するポイントがいろいろ見つかりました。
絵本セラピーのプログラムに入れるとしたら、なんのテーマにしよう?
ねずみ年の今年中に、ぜひともこのお話を使ったプログラムをやってみたいと思います。

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