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インドネシア民話をタイ語の絵本で読みました

こんにちは!タイ語でも絵本を読む、絵本セラピスト🄬らくちゃんです。

 

何年も前にタイで買った絵本を、最近ぼちぼち読んでいます。

今日は、インドネシア民話「ベンガーアル鬼と豆鹿ペランドゥック」をご紹介。

 

あらすじ

むかしむかし、カリマンタンの東に、バトミリと呼ばれる山が天高くそびえていました。

毎夜、天界に棲む化け物たちが、バトミリ山のてっぺんから、村の家畜を食べに下りてくるのでした。

村人たちが話し合い、「化け物たちが下りてこられないよう、バトミリ山のてっぺんを切って、低くしてしまおう。」ということになりました。

 

山のふもとに、マハーガムという大きな川があり、そこを守る鬼がいました。

その名をベンガーアルと言いました。

ベンガーアルは巨体で、腕が長く、いつも水辺を歩いていました。

鬼は、その手で木をなでさするので、木が曲がってしまうほどでした。

 

ベンガーアルはとても怖ろしい顔をしていましたが、彼が誰かに乱暴なことをしたことはありませんでした。

毎日、ただ川の水が清く澄んでいるように、見守っているだけでした。

 

村人たちが、山のてっぺんを切り落とそうと決めた日になりました。

すごい音が森中にとどろきました。

ベンガーアルは、びっくり仰天。慌てて近くに見に行きました。

すると、ちょうど石がとんできて、目に刺さったので、村人たちがそれを引き抜いてあげました。

ベンガーアルは、痛みがひいたら、またいつものように川の見守りに戻りました。

しかし、バトミリ山のてっぺんから落ちてきた石くれが、そこら中あたり一面を埋め尽くしていました。

たくさんの石くれを、ベンガーアルは、昼も夜も拾い集めました。

石がぶつかりあう「ゴン!ゴン!ゴン!」という大きな音が、一日中響き渡り、森の動物たちはうるさくてたまりません。

 

そこで、動物たちは相談し、ベンガーアルに石を拾うのをやめるよう、策士の豆鹿ペランドゥックを説得に行かせることになりました。

ペランドゥックが、ベンガーアルに言いました。

「私はペランドゥックです。森の動物たちを代表して、石を拾うのやめていただきたくお願いに参りました。というのも、森中ひどい音なのです。」

「しかし、石くれがごろごろ散らばっていて、川を使いに来る者が困るだろう」とベンガーアルが答えます。

ペランドゥックは策を講じて、「森の神も、あなた様が大きな音をたてていることを不満に思っています。もしあなた様がやめなければ、森の神はひどくお怒りになるでしょう。そうなれば、あなた様が困りますよ。」と言いました。

「だが、私はこの川を護る務めがあるのだ。森の神もきっとお許しくださるだろう」

ベンガーアルは自信を持って答えました。

 

ベンガーアルは、森の神に説明したかったので、ペランドゥックについて行って、山のふもとで待ちました。

ペランドゥックは、もう一匹の豆鹿に命じて、ベンガーアルの立っているところに、山の上から石を転げ落としました。

 

石が落ちて地面を打つ音が、あたり一面に鳴り響きました。

ペランドゥックが身震いして叫びました。

「ベンガーアル!森の神がお怒りです!もうカンカンです!!」

 

ベンガーアルは、心の優しい鬼でした。

誰のことも怒らせたくも、困らせたくもありませんでしたので、石を拾うのをやめました。

仕事ができなくなり、ベンガーアルはただぼーっと座っているしかありません。

月日が過ぎ、何ごとも起こりません。

彼は、悲しくなり、絶望して、冠を脱いで地面に置き、去っていきました。

ベンガーアルの冠は石のようになり、その側にはかつてベンガーアルの目に刺さった石が。

またその先には、豆鹿が山から転がして落とした石がありました。

その石は「バートゥーペランドゥック」または「豆鹿石」と呼ばれています。

 

これは、「マハーガム川はどうして石だらけなのか?」というお話です。

 

この絵本の特徴

これはインドネシア民話ですが、いろんな国の民話や伝承をタイ語の絵本にした「アジアの民話シリーズ」のようです。

民話や伝承は、地方によって似たようなお話があったり、細部が違っていたりします。

この出版社では、その国の編者や作者から、物語を選び出してきたそうです。

ちなみに、本作品は、「Indonesian folkstales」という本の中の「The legend of Stone (Batu Pelanduk)」というお話。

英語で編纂されたものからの、再話、制作だったようですね。

 

そして、ページごとに、大事な単語が「タイ語」「インドネシア語(現地語)」「英語」で表記されていて、外国語に親しむようになっています。

 

最初の方の、山のてっぺんから毎晩化け物が下りてきて、家畜を食べちゃうところ。

「食べる」のタイ語、インドネシア語、英語が表記されています。

インドネシア語と英語の後ろのカッコは、タイ語で発音が書かれています。

日本語でいったら、「EAT(イート)」みたいな感じです。

 

 

このページは「木」の3か国語表記。

 

語学好きには、ちょっとおもしろい工夫です。

 

おまけ

最後のページは、お勉強できるようなおまけがついています。

「カリマンタンってどこにあるの?」

「マハーガム川~カリマンタンの重要河川」

「豆鹿とは?」

そして、3か国語の単語表。

 

民話の絵本でも、地理、歴史、自然科学に語学も学べるお得な内容。

タイでは、お金を出す大人に納得してもらうために、「勉強になりますよ~」というアピールが必要なのだと教えてもらったことがあります。

大人の思惑はどうであれ、子供たちは物語を楽しみ、読書の喜びを知ってくれればいいなぁと思います。

私も、今まで知らなかったインドネシアの昔話を楽しみましたよ~。

 

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