絵本

児童文学作家📖富安陽子さんの講演会に行ってきました

10月27日、日本を代表する児童文学作家の一人、富安陽子さんの講演会に行ってきました。

場所は、神保町にある出版クラブビルというところ。

初めて行きましたが、すごい!

エスカレーターでエントランスのある3階に上がると、そこにはどど~んとこんなライブラリーが。

 

こういうの大好きです。

思わず胸が高なります。

 

さて、講演をしてくださる富安陽子さんは、絵本からヤングアダルトまで幅広く子供の本を書ていらっしゃる作家さんです。

うちにも何冊か富安さんの絵本があります。

私は今のところ、作家さんで選んで絵本を買ってはいないのですが、「面白いな」「好きだな」と思って作者名を見ると富安さんだったということがよくあります。

なので、今回もどんなお話が聞けるのか、とても楽しみにしてきました。

 

富安さん、中学生の時に童話作家を志し、30数年子どもの本を書いてきたそうです。

その豊富な経験から、絵本制作の裏話をたっぷり語っていただきました。

冨安さんの作品「まゆとカッパ」(富安陽子:著 降矢なな:イラスト 福音館書店)を例にして、いろいろ説明してくださいました。

限られたページ数にどうやって物語を割り振っていくか、ページをめくるタイミングでお話が展開するように、絵描きさんとの連携などなど、短い作品の中に膨大な作り手の心配りが込められていることに驚きました。

また、絵の中の脇役や背景の細部にまで、妥協のない作り込みがされていること、ファンタジーの中の徹底したリアリティ、読んで聞いて気持ちのいい、テンポのよい言葉を紡いでいくことなど、まさに「神は細部に宿る」だと思いました。

 

富安さんの作品には、よく鬼や妖怪、人ではないものが活躍しますし、異世界を舞台に物語が繰り広げられます。

富安さんは、これらのアイディアをよく夢で見るとおっしゃってました。

Eテレでアニメにもなった「オニのサラリーマン」(富安陽子:文 大島妙子:絵 福音館書店)などは、お正月にあの絵本のストーリーそのまんまを夢に見て、正月三ヶ日に一気に書き上げたそうです。

また、ストーリーは結末まで最初からきっちりと考えるのではなく、キャラクターを細かく具体的に作り込み、それらが生き生きと動き出すようになって、おのずと物語が展開し、着地するとも言います。

あぁ、それって村上春樹も同じようなこと言ってたなぁと思い出しました。

きっと物語の神様がいて、選ばれた人の手を借りて、物語をこの世に出すのではないかと思います。

今回、来年3月に出版予定の、まだ制作中の作品を読み聞かせてくださり、絵の一部を見せてくださいました。

これも、夢で一部始終を見て、それを絵本に書き起こしたのだそうです。

 

そういうと、なんだか巫女のような神秘的な人をイメージするかもしれませんが、目の前でお話していた富安さんは、なんともお茶目で話の面白い、かわいらしい人でした。

子ども時代一緒に暮らした富安家の人々は、みんな根っからの「ホラ吹き」だったとのこと。

その楽しいエピソードをたくさん話してくださいましたが、大笑いしながら、なんて素敵な豊かな子ども時代で、家族関係だったんだろうと思いました。

そうやって育まれたホラ吹きとユーモアのセンス、そして無限の想像力が、その後の素敵な数々の作品の源泉となったのでしょうね。

 

約2時間の講演会、ファンタジーの世界が作られる過程をかいま見、富安さんの子ども時代と子育て時代のエピソードに笑わせてもらい、子どもの本の限りない可能性と楽しさを教えてもらった貴重な体験でした。

 

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