先日、バンコクで爆買いしてきた絵本の中の1冊、「ぐりとぐらのえんそく」を読んでみました。
おなじみの「ぐりとぐら」のシリーズのうちのひとつです。
「ぐりとぐらのえんそく」なかがわりえこ と やまわきゆりこ作 福音館書店

タイ語版のタイトルも、色といい雰囲気といい、よく日本語版の雰囲気のままに作られていて、お見事です。
タイ語を一通り読んでみたところ、ぐりとぐらの世界観をしっかり再現しながらも、ちゃんとタイ語なのが不思議。
のねずみの二人の名前は、タイ語でも「ぐり」と「ぐら」なのに、二人が歩くときによく出てくる「ぐり ぐら ぐり ぐら」という歌というか、掛け声のような名調子。これがタイ語では「グロップ グレップ グルップ グラップ グリ グラ」となっています。
なんともかわいく、軽快なタイ語の響き。
原作の日本語も、短く調子のいいセンテンスが続きますが、タイ語もなかなかどうして、なるほど、そういうふうに訳すのか、と勉強になります。
きっとタイの子供たちも、これを読んでぐりとぐらの優しくほんわか温かい世界を楽しんでくれているだろうな、という気がします。
実は、ブログを通じてお友達になった、タイの児童文学に詳しい方に教えていただきました。
この翻訳者の方、タイで日本の絵本を翻訳出版した先駆者的な方で、この業界では第一人者の先生だそうです。
なるほど、どうりで。
絵本を「子供のもの」つまり「子供だましのようなもの」でよしとしないで、日本の絵本の価値や子供への読み聞かせの大切さを認めて、タイ語にしようと尽力された方がいらっしゃったということを、とても嬉しく、頼もしく思いました。
逆に、先日書店の絵本コーナーを見てきた印象では、タイ人作家さんの絵本は、子供向けの(幼稚な)絵の、教材的な絵本が主流のように見えました。
そんな中に、「いい絵だな」「好きなタッチだな」と思う絵の本があっても、まるで安っぽいパンフレットのようなペラペラな装丁でした。
私の絵本を見る目もまだまだですが、いつか才能のある作家さんの作品を、日本語に翻訳して日本に紹介できたら・・・
そんな妄想も広がります。
ところで、この「ぐりとぐらのえんそく」は、
はるかぜ そよそよ
せなかに そよそよ
おひさま ぬくぬく
せなかに ぬくぬく
の季節の楽しいピクニックですが、これを読みながら今日は37度の危険なほどの猛暑。
そんな中、息子たちのバスケの試合と野球の試合の送迎と応援に走り回り、私もヘトヘト、ぐったり。
「ぐりとぐらのえんそく」は、ある意味現実逃避だったかなぁ、と思います。