「100万回生きたねこ」(佐野洋子著 講談社)というロングセラーの絵本があります。

この作品のタイ語版を持っているのですが、タイトルの翻訳が気になってしかたがありませんでした。
100万という数字の部分です。
日本語でも、千から万、1000万から億など、位が上がる時に数字の言い方が変わるところがありますよね。
タイ語では、100万はいわゆる「Million」にあたる言葉があります。
ところが、この本のタイトルでは「100万」と訳されているのです。
わかりにくいですね。
日本語でたとえて言うと、「1万」というときにわざわざ「10千」と言っているようなものです。
翻訳者は、日本の絵本翻訳の草分け的存在の大御所。
まさかこんな数字ごときを誤訳するわけはありません。
私のタイ語の知識が浅いから知らないだけで、本当はこういう言い方をすることがあるのかしら?
悶々としていましたが、考えてもわからないので、質問してみることにしました。
Yahoo知恵袋ならぬ、Facebook知恵袋(?)
Facebookに写真を載せて、「質問があります」と。
すると、4人のタイ人の友人がコメントしてくれました。
①わざと1万が100個で100万、おもしろいじゃん!と注目させるためだけの言葉遊びだと思うよ。普通話すときは「Million」を使うから、まぎらわしいよね。
②同感。面白いよね。「Million」そのままよりも、ちょっと目を止めて考えさせるためだと思う。
③後ろの言葉の音を、前の言葉の音と韻をふませるためだと思う。
メオノーイ(子猫)とローイ(100)。
(タイ語だと、しり上がりになる声調で、確かに韻をふんでいます)
メオノーイとヌンラーン(100万)と書いたら、上記の言い方ほど響きがよくないでしょ。
④印象づけるために、こういうひねった言葉遣いするの、時々見かけるよね。たとえば「10万」という歌とか。
(タイ語は10万という固有の言葉が合って、10+万とは言いません)
学問的には、こういう言い方はなしだけどね。
(ちなみに、この歌のYouTube動画のリンクをつけてくれましたが、コテコテのタイの演歌な感じで笑えました)
なるほど~!
どの説も納得です。
コメントをくれた友人4人は、みんな文学や語学の専門家ではありませんが、全員大学卒の教養のある人ばかりで、これらの考察もなかなか深いものがあります。
今回、素朴な疑問をFacebookにあげてみて、とても勉強になりました。
タイ語を知らない友人には、「一体何の投稿だ?」と思われたかもしれませんが。
それにしても、言葉って面白いですね。