絵本

「絵本を読んであげる」というプレゼント

絵本セラピスト養成講座の課題に、「一緒に受講しているメンバーの一人に、絵本を選んで読んであげる」というものがありました。

誰に読んであげるかは、初日に名前を書いたカードを裏返して、ランダムに一枚ずつ引いて決めます。

そこに書いてあった名前の人に、講座4日目までに絵本を選んできて、その人に向けて読み聞かせをするのです。

4日目のその時間まで、誰に何を読むのかはナイショ。サプライズです。

同期のメンバーは、「もともとお友だち」という方はいないので、講座中やランチに出たときなどに、ライフスタイルや好みをさりげなくチェック。

お人柄や雰囲気なども考え、そこに自分のメッセージを乗せられる絵本を探します。

まだまだ自分の絵本の引き出しがないので、思いつくものは限られています。

図書館に通ったり、ネットで検索したりしながら、精一杯「その方」のために絵本を選び、心をこめて読みました。

 

私が読んであげたのは、幼稚園と小学生の3人のお子さんを育てる、かわいらしいママさん。

「こどもの笑顔を見るのが好き」という、優しく魅力的な彼女に選んだ絵本はこれ。

ドリス・シュワーリン ぶん

カレン・ガンダーシーマー え

木島始 やく

童話館出版

 

こどもたちが、今日いっぱい遊んで、楽しいことがいろいろあって、でも「あすはきっと」もっといろんなことができるよ、今日できなかったことができるようになってるよ、という希望に満ちた絵本。

こどもたちをニコニコ見守るママでもあり、毎日を精一杯がんばっていて、こどもたちといっぱい笑って、日々成長し続けている「こども自身」でもある。

そんな彼女に、そして彼女のようなママとこどもたちが、いつも笑顔でいられる世界でありますように、という思いで選びました。

 

そして、私に絵本を選んで読んでくれたのは、たぶん同期で最年長の、知的で落ち着いた、優しさにあふれた大人の女性。

読んでいただいたのはこの本です。

原作 ロバート・マンチ

文 細谷亮太

絵 いせひでこ

岩崎書店

 

男の子を育てるおかあさんの深い愛情とその愛情が受け継がれていくお話。

絵がとてもやさしく、美しいです。

講座中、たびたび息子の話をしていた私に、このような素敵なおかあさんの絵本を選んでくださいました。

「だいじなだいじな わたしのあかちゃん

あなたのことがだいすきよ」

もう面と向かってそんなことは言えない年頃になりました。

これからは、巣立っていく日を覚悟しながら、一緒にいられる時間を積み重ねていくことになります。

どうしても忙しい日々に、ただ目の前のことに走り回り、振り回されるばかりになってしまいますが、ふとあの頃の気持ちを思い出させてくれました。

こんなにも大事なものが私にはある、そんなことをあらためて感じました。

 

この本は絵本ですが、現役(?)の子供にはまだちょっと理解できない感覚だと思います。

息子たちを授かって、乳幼児期の子育て嵐の時代を抜けた今だからこそ、刺さるメッセージ。

自分がもっと歳をとり、息子たちが巣立って行ったあとは、またまた違う刺さり方をするのでしょうね。

絵本が持つ、限りない可能性を感じます。

 

今回、このワークをやってみて思いました。

大切な人に、歌や楽器の演奏をプレゼントする人はいます。

絵やイラストが得意な人は、誰かに絵を描いてあげることもありますよね。

そんな感じで、誰かに絵本を選び、読んであげるプレゼントっていうのもありだな、と。

本を友達にプレゼントしてあげることは、私もあります。

絵本も、買って贈ってあげたこともあります。

でも、それとはちょっと違うんです。

おとなは本を手にすると、思わず字を読んでしまいます。

子供のように、絵を見ながらお話を聞く、ということをやってみると、感じ方が全然違うことがわかります。

その人のために特別に絵本を選び、読んであげるというプレゼント、身近な人からやってみようかな、と思います。