原田隆史先生の書いた「いま、子どもたちに伝えたいこと」という本を読みました。
いつも原田先生が講座の中で語っていること、自立型人間の育成や心作りのことなども書かれていますが、この本では原田先生の子供の頃と、高校生の頃のエピソードが印象的でした。
原田メソッドが生まれる原点として、若手教員時代の荒れた学校でのすさまじい苦労話や、陸上部での奇跡のような話は何度も著書で読み、講演会でも聞いて知っていました。
また、子供の頃は夜尿症で、対人恐怖症。
授業中、教科書読みをあてられると、緊張のあまり頭が真っ白になって倒れていたという話も聞いていました。
しかし、それをいつどのように克服したのかは、本書で初めて知りました。
辛抱強く「隆史くん」の様子を見守り、本人がみずから殻を破れそうなタイミングを見極めて、さりげなく周りに根回しをして背中を押してあげた、そんな担任の先生の力量と懐の深さに感銘を受けました。
この先生と出会っていなかったら、あの原田先生がもしかしたら今でも気弱な、人前で話のできない人になっていたのかもしれません。
また、思春期真っ盛りの高校三年生の時、子供っぽい理由から大学進学をせず就職を考えたそうです。
親にも素直になれず、夏休みになると同時に家出を決行した「隆史少年」は、行き着いた無人駅でお金もなくお腹をすかせていたところを、あるお坊さんに拾われます。
そのお坊さんのお寺に世話になり、夏休みの間、社会勉強をしながらじっくり自分と向き合い、結局大学に進学して教師を目指すことにします。
このお坊さんもまた、言葉は少ないながら、大切なことを隆史少年に気づかせてくれたのだと思います。
高校三年生の夏休み明けから急に大学進学に進路変更したところ、高校の各教科の先生が一丸となって原田君の受験勉強をサポートしてくれたのだとか。
一人の少年の決意を尊重し、全力で応援してくれた先生方のおかげもあって、無事奈良教育大学に合格し、今の原田隆史先生があるわけです。
今、成功の技術「原田メソッド」を世に広め、オリンピック選手やプロアスリートのメンタル・トレーナーを務め、多くの本を出版し、時にはテレビのコメンテーターとして登壇したり、何百人の前で講演したりする原田隆史先生があるのは、すばらしい師と出会って、その才能を引き出してもらってきたからなのですね。
そして、原田先生が指導してきた中学生たち。
シングルマザーや貧困家庭で、勉強や部活どころじゃなかった子が、原田先生の指導のもとで陸上競技で日本一になり、スポーツ推薦で高校進学を叶えました。
人生は自分の手で変えられることを体験した彼らの人生、もし原田先生と出会っていなかったら・・・
それも、もし原田先生が子供の頃、あの先生に出会っていなかったら・・・
そう考えると、人の影響力ってすごいですね。
以前、絵本セラピーで読んでもらった本に、「おおにしせんせい」(長谷川義史:作 講談社)という絵本があります。
いまや絵本界では超売れっ子の長谷川義史さんの、子供時代の実話を基に書かれたそうです。
「おおにしせんせい」がいなかったら、あの大胆でユニークで味わい深い、長谷川義史さんの作品もなかったのかも?

先生って大変だけど、本来なら無数の可能性を育てる、素晴らしく、楽しく、夢のある仕事。
そして才能を開花させた子どもたちは、社会で生き生きと活躍し、周りの人にもプラスの影響を与えます。
そう考えると、その無限の影響力の広がりにワクワクします。
多くの先生がそう思って、喜びと誇りと愛情をもって子供たちと向き合ってもらえるといいな、と思います。

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