ブックレビュー

安藤みきえ「夕暮れのマグノリア」繊細で美しいYA文学

こんにちは!絵本セラピスト🄬のらくちゃんです。

 

今回は、絵本や児童書ではなく、素敵なYA(ヤングアダルト)文学を読んだので、ご紹介します。

「夕暮れのマグノリア」(安藤みきえ:著 講談社)

 

どんな内容?

中学1年生の女の子、灯子が夕暮れに遭遇した不思議な体験を、繊細でどこかあやうい女子中学生の友達関係を絡めながら、描きます。

「たそがれどき」とよばれる夕暮れ時、この世と異界の境目があいまいになり、霊や妖怪、「あやし」のものが紛れ込んでくることがあります。

灯子が体験したそんな一瞬。

竜宮の使いと出会った「ふしぎな5月」から、1ヶ月おきに次の年の「ふしぎな3月」までの素敵な6話の短編が続きます。

ちなみに、タイトルの「マグノリア」とは、モクレン科の植物の総称だそうです。

 

著者の安藤みきえさんって、どんな人?

1953年山梨県甲府市生まれ。

1994年「ふゆのひだまり」で第11回小さな童話大賞、「いただきます」で同選者賞を受賞。

2001年、「天のシーソー」で、椋鳩十児童文学賞受賞。

本作は、2007年発行。

児童書の作品多数。

 

独断と偏見の感想

亡くなった人や、不思議な出来事と、夕暮れに遭遇するわけですが、けっしてホラーやオカルトではなく、ちょっぴりファンタジー。

優しく見守り、この世で生きる灯子を応援してくれているようです。

 

女子中学生の友人が何人も登場しますが、繊細でどこかあやうく、ちょっぴり残酷な彼女たちの生態(?)を、さりげなく、しかしするどく描いています。

中学生の頃って、こんなんだったかも・・・と遠い記憶を呼び覚まされます。

陰湿で深刻ないじめではなく、マイルドな仲間外し。

ちょっとしたことで、誰かがターゲットになって外される。

そういうときの胸の痛みや、居心地の悪さ、覚えているなぁ・・・

 

気になる男の子に対するドキドキも、なんともかわいく、それが200年前の恋物語と重なるところが秀逸。

ひとつひとつの物語が、独立したお話のようでいて、まぎれもなく灯子の体験がつながった一年の物語です。

ひとつのお話の最後に、必ず次のお話で主役になる人物がさりげなく登場する演出も、なかなかしゃれています。

 

YA(ヤングアダルト)というジャンルの本は、あまり読んできませんでした。

自分自身が中学生の頃、何を読んでいたかしら?

こんな素敵な作品、あったかしら?と思い出してみました。

 

コバルト文庫のようなものを、友達に借りて読んだこともあったかも。

でも、あんまり記憶にない・・・

オクテだった私に、恋物語はピンとこなかったからでしょうか。(笑)

中学生の頃は、江戸川乱歩や横溝正史を夢中で読んでいたかな。

その後、池波正太郎とか、杉本苑子とか、歴史ものにはまったっけ。

 

YA文学に、こんな素敵な作品があるのなら、今からでも遅くないですよね。

時には、女子中学生の感性で、YAを楽しみたいと思います。

 

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