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「イグアナくんのおじゃまな毎日」がおかしくて、深いです

「イグアナくんのおじゃまな毎日」という児童書を読みました。

シンプルな線の挿絵がとってもかわいく、軽快でコミカルな文体で楽しく読めますが、最後は人生を考えさせる深い示唆が含まれています。

「イグアナくんのおじゃまな毎日」(佐藤多佳子:作 はらだたけひで:絵 偕成社)

 

小学5年生の樹里が、誕生日のプレゼントにもらったのは、なんとグリーンイグアナ。

持ってきたのは、「徳田のジジイ」。

パパの大叔父にあたる人で、パパが英語教師として勤務する私立中学の理事長です。

どうやら、徳田のジジイの孫がイグアナを飼っていたものの、世話が面倒になって押し付けてきたというのが真相らしい。

パパは、徳田のジジイにさからうと仕事をクビになるというので渋々引き受け、樹里のうちで面倒を見ることになりました。

樹里の家は最近改築したばかりで、奮発して素敵なサンルームを作ったのです。

パパが日光浴しながら読書を楽しんだり、ママが大好きな植物を育てたりするはずだったサンルームが、なぜか有無を言わさずイグアナの飼育室にされてしまいました。

樹里もパパもママもイグアナなんか好きじゃないし、ママなんか悲鳴をあげるほど爬虫類が大嫌い。

「ヤダモン」と名前をつけて、いやいやながら世話をすることになったのですが、これが大変。

温度管理や毎日の食事。わからないことだらけなのを、飼育テキストを見ながらやってみるものの、お金も手間もハンパなくかかるのです。

毎日ヤダモンのことで大騒動、家族でケンカしながら右往左往している様子がなんともコミカルでおかしい。

軽快なテンポの掛け合いに、どんどん読み進めていくと、いつの間にか様子が変わってきます。

どうやら樹里ちゃん、ヤダモンのことが好きになってきたみたい。

 

夏休みの宿題の自由研究に、ヤダモンの観察日記を書こうと思いついてからは、がぜん積極的にお世話をするようになります。

植物のように、芽が出て、双葉が出て、つるがのびて・・・という変化があればいいのですが、ヤダモンの毎日は基本単調でマンネリ。

そこで、樹里ちゃんは観察日記のために、えさを毎日変えてみたり、お風呂に入れてみたり、いろんな実験をしてみます。

そうすると、お世話も楽しくなってくるし、ヤダモンのことがよくわかるようになってくるのですね。

そりゃ、情もわいてくるでしょう。

 

ある日、徳田のジジイが爬虫類の専門家の大先生を連れてきたところ、このサンルームの飼育環境と、樹里ちゃんの観察日記の着想を大絶賛したのです。

それを聞いた徳田のジジイは悔しくなって、「あのイグアナを返してもらうよ」とパパに言います。

そこで思わず出たパパの返事は、「くたばっちまえ。クソジジイ!」。

 

パパは当然クビになり、家族はビンボーになったわけですが、ヤダモンを手放さなくてすんだ樹里も、イヤなやつにぎゃふんと言わせてやったパパもママも、実にすがすがしくハッピーな気分です。

結局、パパは進学塾の講師の仕事を見つけ、ママもコンビニの店員さんとして働き、樹里はスーパーのチラシを見ながら安売りの野菜を買いに走ります。

さらに、パパは爬虫類の専門家の先生の紹介で、論文や専門書の下訳もするようになり、翻訳家の道も開けそうです。

 

ヤダモンは相変わらず寝て起きて、食べてフンをして、のそのそ動いてまた寝るだけの生活。

人間のことなんか、知ったこっちゃないのです。

 

このお話の中に、とても印象的なエピソードが出てきます。

熱を出して寝ていた樹里ちゃんのところに、飼育室を抜け出してきたヤダモンが乗っかってきました。

知らずにヤダモンを乗せて寝ていた樹里ちゃん、まるでイグアナが暮らす熱帯の森のような深くて豊かな緑の夢を見たのです。

その話をしたら、パパもヤダモンを乗せて昼寝をしてみたい、と。

サンルームの椅子でヤダモンを乗せて昼寝をしたパパは、太古の地球で恐竜になった夢を見たそうです。

さらに、仲良くなった爬虫類の専門家の先生も、「今度、昼寝をしにきてもいいですか?」と。

ヤダモンを乗せて昼寝をして、緑の夢を見てみたいと本気で言います。

 

心を開いて、イグアナと波長を合わせると、イグアナの細胞やDNAに刻み込まれた記憶を共有できる瞬間があるんじゃないか、そんなことを思いました。

パパの言葉が秀逸です。

「でも、ボクは、ときどき、この部屋に休みにきます。

どんなに暑くても、つかれがとれることがあるんです。

ふしぎですね。ボクは特別イグアナを好きなわけじゃありません。でもこの暑い、暑すぎる、緑のゆたかな部屋で、南の国の巨大なトカゲを見ていると、ちがう時間の流れの中にはいっていくような気がします。」

 

あぁ~、すごくわかる気がします。

私の記憶にある南の国の濃い緑の森、暑い風、泥色の川を思い浮かべ、あの時の心がのびのびとして細胞が喜んでいるような感覚を思い出しました。

ヤダモンの周囲で巻き起こる騒動に笑いながら、いつしかヤダモンのおかげでのびのびと自分の人生を行き始めた人たちの様子に元気をもらい、癒されました。

 

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中山純子

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