5月4日、みどりの日。
豊かで美しい森や木を題材にした絵本は数多くありますが、今日はこの絵本を紹介したいと思います。
「わたしの森に」(アーサー・ビナード:文 田島征三:絵 くもん出版)

大好きな詩人、アーサー・ビナードさんの文に、田島征三さんの力強い筆致の絵で、ほとばしるような生命力を感じます。
実はこれ、主人公はマムシです。
毒蛇として忌み嫌われる存在ですが、そんなのは人間の勝手な都合。
マムシも自然の一部として、力強く生きています。
この絵本は新潟の森から生まれました。
新潟県十日町市に、「鉢(はち)」という集落があります。
山に囲まれた、すり鉢の底のような場所にある集落。
そこにあった学校が廃校になり、絵本画家の田島征三さんが2008年に「絵本と木の実の美術館」としてよみがえらせました。
アーサー・ビナードさんが、田島さんの誘いを受け、2年にわたって鉢集落を訪れ、その雪国の四季と暮らしを体験しながら、二人がコラボレーションした企画展を制作しました。
その作品は、2018年「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018」で発表され、同時にこの絵本「わたしの森に」も出版されました。

表紙が、カバーを外すと夜の森に。
明暗のコントラストにハッとします。
息子に読み聞かせをしようと、カバーをはずして初めて気がつきました。
アーサーさんによると、「2016年の暮れに、赤い絵の具ででっかく『そくたつ』と書かれた怪しい封筒がわが家の郵便受けに届いた。田島征三さんから誘いの手紙だった。」とのこと。
すでにここから物語が始まっているようで、嬉しくなりました。
実は私、この芸術祭を見に行き、「絵本と木の実の美術館」にも行ってきました。
廃校そのものが立体美術館のような作りで、度肝を抜かれます。



「学校はカラッポにならない」
このコンセプトも絵本になっています。

この絵本に登場する、思い出を食べるおばけ、「トペラトト」もいます。


学校中が作品です。





この美術館、敷地内に畑や小川もあり、やぎも飼っています。
それでいて、ちゃんとミュージアムショップやカフェもあったりします。
不思議な空間だけど、のんびり一日過ごしたいお気に入りの場所。
豪雪地帯なので、冬は人の背丈よりも雪が積もることも珍しくありません。
自然が厳しいからこそ、そこに息づくものは力強かったりします。
次回の「越後妻有アートトリエンナーレ 大地の芸術祭」は2021年開催予定です。
この美術館だけでなく、周囲の里山、廃校、昔の工場、役場などに芸術作品が点在し、見ごたえがあります。
私も、ぜひまた足を運びたいと思っています。
豊かな新潟の自然と芸術作品のコラボレーション、絶対に見逃せません。

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