昨日は、日本の絵本業界の事情について書きました。
そこで、タイの絵本についてもちょっと考えてみたいと思います。
先月、タイに行って絵本を爆買いしてきた話を書きました。
バンコクの書店を見てきたその時の印象は、「タイはまだ絵本文化が成熟していないのでは?」ということでした。
タイの作家さんによる絵本は、いわゆる教育用絵本というか、文字や数、行儀作法や道徳などを教えるものが多いように見られました。
マンガチックな絵で描かれていて、装丁も薄っぺらいペーパーバック。
日本を含む海外の翻訳作品も、印刷の色味がずいぶん違ったり、紙の質もいまいちなペーパーバックだったり。
絵本愛が強いあまり、この状況を「残念」と思ってしまいましたが、これには深いわけがあったのです。
タイの絵本や子供の本、タイの文化などについてブログを書いている方からメッセージをいただき、タイで日本の絵本が翻訳、出版され始めた経緯やペーパーバックが多い理由などを教えていただきました。
海外の作品の翻訳、出版に関わられた先生や編集者の方の、「たとえ売れなくてもいい本を出したい」「貧富の差なく子供たちにいい絵本を届けたい」という熱い思いから、努力と工夫を重ねた結果なのだそうです。
確かに、ハードカバーの絵本はなかなかのお値段です。
タイも生活レベルや収入が向上したとはいえ、まだ絵本の値段が一日の家族の食費よりも高いという家庭は少なくないでしょう。
だから、印刷や紙の質は落としても、お話や絵の質の高い絵本をできるだけの多くの子どもたちに届けたい・・・
なるほど。納得すると同時に、タイで絵本にそこまで情熱を持って翻訳、出版をしてこられた方々がいたということに感激!心がふるえました。
ちなみに、私が持っているタイ語に翻訳された絵本。ハードカバーはこんな感じ。

上段左から、
でんしゃでいこう・でんしゃでかえろう 230バーツ(約805円)
みんなうんち 195バーツ(約683円)
100万回生きたねこ 255バーツ(約893円)
ぐりとぐらのえんそく 195バーツ(約683円)
ぐるんぱのようちえん 225バーツ(約788円)
はじめてのおつかい 225バーツ(約788円)
*1バーツ=3.5円で換算
ペーパーバックだと、

同じく、上段左から、
りんごとちょう 90バーツ(約315円)
あおくんときいろちゃん 85バーツ(約298円)
100まんびきのねこ 65バーツ(約228円)モノクロ
おててがでたよ 45バーツ(約158円)
もりのなか 65バーツ(約228円)モノクロ アイキャッチの写真の日本語版はハードカバーで、1,000円+税
はらぺこあおむし 129バーツ(約452円)しかけ絵本
ちなみに、タイ人作家さんでも、ハードカバーとペーパーバックで価格帯は同じような感じです。

上段の2冊はハードカバーで、どちらも245バーツ。(約858円)
下の段はペーパーバックで、左2冊は130バーツ(約455円)で、右2冊は定価95バーツ(約333円)のところ、ブックフェアで1冊30バーツ(約105円)で買いました。
結構緻密に描き込んである、素敵な絵です。
でも、タイでも絵本作家として生きていくのは大変だろうなぁ・・・と想像できます。
せめて、タイに行った時には、気に入った絵本をできるだけ買おう!と思ったのでした。