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中村哲医師が与えた影響の末端

12月4日、中村哲医師がアフガニスタンで武装集団に襲われ、亡くなられました。

何気なく電車内でネットニュースを見て知りました。

ショックのあまり、心臓がギュッとなり、しばらく茫然としてしまいました。

 

中村先生は、医師としての職務を超え、井戸掘りや灌漑工事などにも尽力してこられました。

その功績については、ここで私が書くまでもなく、所属されていたペシャワール会のサイトや各種ニュースサイトに詳しく記されています。

実際、私はアフガニスタンの情勢や中村先生が尽力されてきた活動について、詳しい知見があるわけでもなく、関りがあったわけでもありません。

では、今日のブログで何を書こうと思ったのでしょうか。

実は、去年ひょんなことから中村先生の著書を数冊立て続けに読み、ドキュメンタリーの映像をネットで夢中になって見ていた時期があるのです。

 

ものごとに興味を持つきっかけやタイミングというものは、本当にめぐりあわせみたいなものがありますね。

昨年の夏、子供を連れてオットの実家に帰省した時、電車の中で読もうと思って持っていったのが「打ちのめされるようなすごい本」(米原万里著 文春文庫)という本でした。

著者の米原万里氏は、2006年に亡くなったロシア語の通訳者で、作家でもある人です。

ユーモアに富んで面白く、それでいて確かな洞察や教養を感じさせる文章を書く人で、好きな著者の一人でした。

しかし、この本は著者の読書日記と書評をまとめたもので、何となくすぐ読む気になれず買ったまま数年放置していたものでした。

新幹線の中でパラパラと読み始め、何十冊もの本の紹介、書評の中に、中村哲医師の著書「アフガニスタンの診療所から」(筑摩書房/ちくま文庫)と「ドクター・サーブ 中村哲の15年」(丸山直樹:著 石風社)がありました。

中村医師のことは、ずっと以前にテレビか何かでちらっと見て、そういう日本人がいるということはぼんやりと知っていました。

それがなぜかこの書評を読んだ時、すごく気になって、帰宅してすぐに中村先生の著書「天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い」(NHK出版)を入手して、一気に読みました。

衝撃的でした。

なんてすごい人がいるんだろう、と。

思わずネットを検索し、ドキュメンタリーの番組の映像を見つけ、食い入るように見ていました。

見ながら、涙が止まりませんでした。

言葉にすると陳腐になってしまいますが、「中村哲」という人間の生きざまに圧倒された感じでした。

しばらくの間、あまりの感動と衝撃で中村先生のことが頭を離れませんでした。

 

その頃、私は日比谷にある会社で派遣スタッフとしてタイ語の翻訳の仕事をしていました。

そこには、英語の翻訳をする派遣スタッフもいました。

彼女とは、仕事を一緒にすることはありませんでしたが、同じ派遣で翻訳をするもの同士、お昼休みは一緒にランチを食べていました。

ちょっと個性的で周りに同調しないタイプの彼女は、日本の社会はどうもあまり居心地がよくないようでした。

「日本、大嫌い」「海外で好きなように生きたい」「この会社も、ここの仕事もサイアク」とよく悪態をついている子でしたが、私とのランチタイムは、お互い語学の話や海外の話、彼女の趣味のクラッシック音楽の話などをして楽しく過ごしていました。

そんなある日、私が中村哲という人とその偉業に感銘を受けているという話をしたところ、その彼女も中村先生の本を読み、映像を見て感動したと言ってくれました。

それからしばらくは、ランチのたびに中村先生の話で盛り上がっていたわけですが、彼女がしみじみと「日本人にもこんな素晴らしい人がいるのかと思った」と言っていたのが印象的でした。

(素晴らしい日本人、いっぱいいるのに~と思いましたが)

 

とにかく、何が言いたいかというと、あの時期確かに中村哲という存在と生き様が、私たちの心を洗い、勇気づけ、同じ日本人ということに誇りを感じ、よりよく生きようという力を与えてくれていました。

具体的に、私たちがパキスタンや中東やペシャワール会や様々な関連の問題に関わったり、支援したり、ボランティア活動に参加したり、ということはありませんでした。

でも、日常の無数の選択だったり、将来の描き方だったり、人との向き合い方だったりに、無意識の部分で働きかけてくるものがあるような気がします。

あの人のように、高潔でありたい。誠実でありたい。強くありたい。優しくありたい。善くありたい・・・

 

人の言動が、回り回ってどこでどのように影響するか、わからないものです。

米原さんだって、10年以上前の書評がきっかけで私が今日ブログを書いていることを、あの世で驚いているかもしれませんし、中村先生だって、何の関係もない茨城の一主婦がこんなにも先生の活動に心動かされているとは夢にも思わなかったでしょう。

ものごとは、人智を超えた縁が作用し合って形作られていくものだとしたら、私たち一人一人が平和を願い、思いやりをもって、よりよい世界を望んで日々を生きることで、少しずつ世界を変えていけるのではないかと思います。

中村先生のご冥福を心よりお祈りします。

 

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中山純子

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