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牛の絵本「ジャスミン」風刺のきいた大人絵本

こんにちは!

大人に絵本を読んでいる、絵本セラピスト🄬らくちゃんです。(プロフィールはこちら

 

2021年の干支は丑(うし)。

ということで、何か牛の絵本はないかと本棚を探したら、みつけたのはこれ。

 

これ、息子たちの小さかった頃に読んであげたのですが、どうもあんまり気に入らなかったようで、数回読んだか読まないかのうちにしまい込まれてしまいました。

久しぶりに読んでみたら、子供より大人の方が、いろいろ考えさせられる絵本でした。

 

どんなお話?

出版社からの内容紹介は、

めうしのジャスミンは、農場の裏庭で羽飾りのついた帽子を見つけました。
帽子をかぶったジャスミンを見て、農場の動物達は大笑い。でも、笑ってはみたものの、
実はみんな、帽子をかぶったジャスミンが気になって仕方がありません。みんなが
帽子をかぶりだすと、今度はジャスミンが・・・。自分自身であること、他者や集団に流されないこと、
その潔さ。子どもたち、とりわけ思春期の人たちにまっすぐ、語りたいものです。

 

めうしのジャスミンは、農場の他の動物たちが何を言おうが、どんな目で見ようが、お構いなしに、自分の好きなようにふるまいます。

動物たちは、他人(?)と違うことをするジャスミンを笑ったり、馬鹿にしたり、批判したり。

でも誰かが「それもいいんじゃない?」と言って、真似しだすと、こぞってそちらになびきます。

その後またジャスミンがみんなと違う行動をとると、また馬鹿にしたり、怒ったり。

そんなことが繰り返されますが、ジャスミンは周りのことは気にせず、帽子をかぶりたい時にはかぶり、脱ぎたい時には脱ぐのです。

 

お話の、最後の一文が象徴的です。

ジャスミン。帽子をかぶっていようと、かぶっていまいと、自分は自分ということに信頼を持ちつづけた め牛です。

 

ここに作者のメッセージがあるのだと思います。

 

人間社会で「あるある」な、周りの動物たちの言動

しかし、私が注目したのは、ジャスミンの毅然としたところや、潔さではなく、周りの動物たちの愚かさというか、滑稽さというか・・・

人と違うことをすると笑ったり、批判したり。

自分たちと同じようにさせようとして、従わないと怒ったり。

大勢の意見に同調して、ますますヒートアップする。

なんだか、身に覚えがありませんか?

 

私、自分もこの中にいるような気がして、嫌悪感を覚えました。

同調圧力というか、人間の世界ではよくある現象ですよね。

私だって、流されていることがよくあります。

 

思わず、昨年の騒動を思い出しました。(今も続いている部分もありますが)

マスクを求めて、ドラッグストアに開店前から長蛇の列を作ったり。

トイレットペーパーやうがい薬を買い占めに走ったり。

マスク警察、自粛警察、他県ナンバー狩りなんかも、自分たちの正義に合わない人には天誅を!って感じじゃないでしょうか。

 

絵本の中では、やさしい色調で描かれた、農場の動物たちのお話ですが、心の闇の部分がなんとも人間臭くてたまらないと思うのです。

 

こんな中でも、黒猫のコットンは、「あれでいいんだよ。ジャスミンは」と静かに座って言っています。

「ぼくがいつも言っているように、人それぞれさ。

でも、そうするには勇気がいる。

ジャスミンには、その勇気があるよ」

 

こういう人、いますよね。

自分では目立った行動やリーダーシップを取るわけじゃないけど、本質をわかっていて、自分の軸を持っている人。

 

大人が絵本を読んだから

この絵本の原作が出版されたのは、1973年でした。

50年近く前の作品です。

め牛のジャスミンを主人公にした、農場の動物たちの物語に、同調圧力や自粛警察を思いだすのは、絵本が「心の鏡」だから。

私の心が写ってしまったのですね。

 

他の人は、この絵本で何を感じるのだろう・・・

いつか絵本セラピーで、この絵本を読んでみたくなりました。