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【北海道・知床】『遊歩道の無い原生林を歩こう!知床ウトロ・森歩き 絶景ツアー』でディープな自然を満喫!

こんにちは!

つくば市在住、大人に絵本を読んでいる、絵本セラピスト🄬らくちゃんです。(プロフィールはこちら

今回、中学生の息子たちと北海道は知床に行ってきました。

世界自然遺産に指定されている知床の自然を見たくて、ネイチャーガイドさんが案内してくれるツアーに参加しました。

これが、忘れられない素晴らしい感動と学び満載の体験でしたので、ご紹介します。

(2021年7月24日訪問。気象条件や感染症のまん延状況により、情報は変わる場合があります。)

知床の自然散策に、ネイチャーガイドのツアーをおすすめする理由

この夏、わけあって中学生の息子二人と北海道に行くことになりました。

息子たちにとっては、初めての北海道。

せっかくなので、「世界自然遺産」にも指定されている知床の大自然を見せたいと思い、ネイチャーガイドの案内してくれるツアーに申し込みました。

自分でレンタカーを借りて行くことも可能ですが、3つの理由からツアーで行くことに。

  1. 自然公園はヒグマの生息地。ディープな自然を安全に楽しみたいから。
  2. 車の運転の不安から解放されたいから。(多くは広い道路ですが、中には未舗装崖っぷちもあります)
  3. 知らなければ見落としてしまう見どころ、植物、生物などを教えてもらいたいから。

そして、今回申し込んだのは『遊歩道の無い原生林を歩こう!知床ウトロ・森歩き 絶景ツアー』。

実は、出発4~5日前にネットでツアーを探していたのですが、有名な景勝地「知床五湖」などを回るツアーはほとんどいっぱい。

空いていたのがこのコースだけで、選択の余地なしだったのですが・・・

結果、大正解!大満足の体験になりました。

このツアーは、遊歩道のない原生林をかき分け、倒木をまたぎながら、3㎞ほど歩くワイルドなコース。

しかも、ヒグマの生息地で、夏は活発に活動している時期ですから、いつ出くわすかわかりません。

大人数の団体や、体力に自信のない人にはちょっと向かない内容かも。

しかし、体力は有り余っている中学生男子、美しいだけの絵葉書のような景色を見るだけのツアーより、こっちの方がずっと刺激的で、若い感性に響くものがあったのではないかと思います。

もちろん、私も体力的には大丈夫。

毎日、朝散歩を日課にしていますからね。

知床自然センターからスタート

知床の自然を訪れる人のためのビジターセンター「知床自然センター」が、ツアーの集合場所になります。

と言っても、私たちは知床ウトロ温泉地区にあるホテルまで無料送迎してもらいました。

ホテルから自然センターへ移動し、そこで他の参加者と合流。

森歩きのための簡単なレクチャーを受けます。

例えば、

✔ クマに会ったらどうするか?

✔ 小枝一本、小石一つ、持ち帰ってはいけない。

✔ 野生動物や野鳥に食べ物を与えることは厳禁。

✔ 水分補給はお茶か水のみ。ヒグマの誘因を避けるため、糖分のあるものは持ち込み不可。

✔ キャンディーやガムなども不可。

✔ たとえ子供でも、原生林で用を足すのは禁止。

などなど。

ひととおり説明を聞いたら、いざ出発!

このコースの見どころは「自然」「歴史」「絶景」の三本柱

このコースには、大きく三つのテーマがありました。

それは、「自然」「歴史」「絶景」。

ネイチャーガイドさんの説明で、原生林をいろんな視点で見ながら、学ぶことができました。

自然

この原生林は、平成17年に世界自然遺産に指定された「知床国立公園」内にあります。

人の手を加えず、野生のままの生態系が維持されているところを、お邪魔するわけです。

まずは、ヒグマに「人間が入っていきますよ~」と知らせるために、ネイチャーガイドさんが大きく手を叩き、「オイ、オイ!」と大声で鋭く叫びます。

そこで、ガサガサと大型の獣が動く音が聞こえなければ安全。

腰くらいの高さのシダと笹のやぶをかき分けて、森に入っていきます。

木々の緑と木漏れ日に癒されながら、どんどん歩いていきます。

森の中は、意外と静か。

セミの声などもしないのですね。

ところどころで、ガイドさんが木の名前を教えてくれたり、森に残された動物の形跡について説明してくれたりします。

たとえば、これ。

ヒグマが冬眠していた穴だそうです。

ヒグマの子育てのことや、オスは何も子育てに協力しないことなどを教えてもらいました。

ヒグマの痕跡はいろいろあります。

足あと

爪あと

ヒグマは木登りも上手。

降りるときに、ズズーッと長い爪あとをつけて降りてくるそうです。

比較的新しい爪あと

木の皮が茶色いのは、まだ新しい爪あとのようです。

樹液に、白い毛がくっついているのがわかりますか?

ヒグマは、後ろ足で立ち上がり、木に背中をこすりつける「背こすり」という習性があります。

この毛は背こすりでついたヒグマの毛だそうです。

背こすりの跡がある木の根元には、ヒグマがアリの巣を掘り返した跡がありました。

ヒグマは、アリも食べるんですね。

ガイドさんによると、ヒグマは手でアリの巣を掘り返し、アリがワラワラと出てきたところにバン!と手を置き、手の上をのぼってきたアリをペロペロ食べるのだとか。

なんとも、地道な食べ方・・・

また、ちょっとショッキングなものも、見てしまいました。

エゾシカの骨

自然の掟ですね。

命が尽きたエゾシカの肉を、ヒグマが食べ、キツネが食べ、カラスが食べ・・・そして土に返っていく。

自然写真家星野道夫氏が残した1枚のヘラジカの頭骨の写真から生まれた、1冊の絵本を思い出しました。

あるヘラジカの物語

まさに、命のドラマ、循環、つながり、無常と永遠を感じます。

このくぼみは、雨が降ると水がたまり、動物たちの「ぬたば」になるそうです。

「ぬたば」とは、鹿などが泥水を体にこすりつける水場のこと。

寄生虫よけの効果があるそうですよ。

キツツキが穴をいっぱい開けた木を見ながら、1秒間に20回も木をつつくことや、そんな高速で頭を振り、衝撃を受けても脳が破壊されない理由を教えてもらったり、繁みの中の動物のフンの主を教えてもらったり。

当たり前かもしれませんが、ガイドさん、すごいです。

また、木々の「倒木更新」のことも初めて知りました。

知床の原生林、豊かな自然のように見えて、実は地盤がよくなくて、木が深く根を張れないそうなのです。

だから、太く大きな木になる前に、強風に吹かれて倒れてしまいます。

しかし、その倒木の上に苔が生え、種が落ちて、若木が育っていくというのです。

植林をしていない原生林なのに、妙に直線に並んで木が生えているとしたら、倒木に落ちた種が木になったから。

そうやって、森が育っていく・・・

なんだか感動しました。

倒木の上に育ち始めた松の赤ちゃん

深く根が張れず、倒れている木

この小さな木も、朽ち果てた倒木から生えています。

歴史

原生林を歩くツアーでは、北海道開拓の歴史についても学ばせてもらいました。

国の開拓計画によって、戦前、戦後にかけて、開拓団がこの知床に入植したそうです。

一攫千金を夢見て、森を切り拓き、開墾して農地にする。

話はそう簡単ではなかったと言います。

農業に必要な水を引く川はなく、人工の川を作ったそうです。

地盤は火山の影響で岩石だらけで、農地には不向きでした。

当然現代のような電気もない中で、冬は想像を絶する厳しい寒さ。

そんな中でも、工夫と苦労を重ねて、なんとか農地を作っていた当時の様子がうかがえるものが、あちこちに残っていました。

これは、木の切り株を松明代わりにしていたものだそうです。

苔むした中にも、焦げた跡が見られます。

繁みの中には、当時の一升瓶や、コーラの缶なども残っています。

自然遺産では、原則として「現状維持」。

こういうものも、撤去することはできず、このままにしておかないといけないそうです。

「現状維持」と言えば、森の入り口の繁みで、ガイドさんに聞かれました。

「この植物、なんだかご存知ですか?」

よく、芸能人などが所持していて捕まるやつです。

そう、「大麻」。

これは、当時麻の繊維を取るために、栽培していたものが、そのまま残って自生しているのだそうです。

よからぬことに使いたい人もいるでしょうから、本来なら抜いてしまいたいところ。

でも、「世界自然遺産」の保護区なので、抜いてしまうこともできず、繁ったままなのです。

また、森を歩いて行くと、突然開けた場所に出ることがあります。

そこは、苦労して開墾した農地や居住地の跡。

先人の苦労がしのばれます。

絶景

森を抜けたところが、いよいよ絶景スポットです。

流氷と荒波に削られてできた断崖絶壁。

青空とオホーツク海の水平線が溶け合います。

この絶壁を、下から見るには船で行くしかありません。

ちょうど、観光遊覧船がやってきました。

岩のくぼみから、滝が流れているのが、わかりますか?

この滝は「男の涙」と呼ばれています。

川から落下しているのではなく、岩から直接清水が流れ出ている珍しい滝です。

水がきれいですね~。

この旅行を終えて、息子たちにどこが一番印象に残ったかを聞いたら、二人ともここの絶景だと答えました。

普段は「べつに」「ふつ~」しか言わない、思春期男子を唸らせたこの景色。

簡単には行けないのが、またいいのかな。

機会があったら、ぜひ見に行ってみてほしいです。

絶景から、また森を歩いて戻ってきます。

国道に出たところで、振り返ったら、美しい知床連山が。

生命力あふれる豊かな森と絶景の感動にひたり、身も心も洗われたような3時間でした。

詳細情報

今回、ツアーをお願いしたのは、知床清里町の「ウエネウサルみどり」さんというところです。

ネットから予約を入れたのですが、その後のメールでのレスポンスも早く、旅の目的から親身になって相談に乗っていただけました。

参加したツアーは、

当店イチオシ!!遊歩道の無い原生林を歩こう!知床ウトロ・森歩き 絶景ツアー【無料送迎付き】

開催期間         4月上旬~11月末
※気象条件、感染症のまん延状況、ヒグマ出没状況により、開催可否が変わります。その都度ご確認ください。
料金大人:6,000円 子供(12歳以下):3,000円
グループ割引、オプション料金など、お問合せください。
所要時間約3時間(9時~ または13時~)

今回、お世話になったネイチャーガイドは、島貫晴子(はるさん)さん。

実は、宮城県出身だそうですが、知床が好きすぎて移住。

自然や環境問題、北海道開拓史の確かな知識とともに、知床愛、自然愛、動物愛をひしひしと感じました。

登別のクマ牧場でゲットしたというクマの手を使った説明は、とてもわかりやすく、子供も楽しんでいたようです。

この日は、午前、午後、ナイトツアーと丸ごと一日パッケージにしてお願いしていたのですが、合間のホテル送迎時も、レンタカーをしていない私たちのために、サクッとコンビニに寄ってくれたりして、とても助かりました。

次回、知床に行く機会があったら、またぜひお願いしたいと思います。

ネイチャーガイドの島貫さん

参加記念に、缶バッジがもらえます

ちなみに、北海道は広大で公共交通機関があまり便利ではないので、観光客は空港からレンタカーを借りるのが常識。

でも、私、運転が好きじゃないんですよね・・・

北海道は道路が広いのはわかっていますが、ナビの通りに行ったらとんでもない崖っぷちや、道なき道に入ってしまった・・・なんてことが起きないとも限りません。

できれば、運転したくない・・・ということで、女満別空港からエアポートライナーで知床、ウトロ温泉へ直行。

泊まったホテルは、ファミリー向けの大型ホテルで、なんと行も帰りもエアポートライナーが寄ってくれます。

北海道の味覚を揃えたバイキングに、オホーツク海が見渡せる温泉大浴場も堪能。

こんな時期ですから、感染対策もバッチリでした。

ネイチャーツアーも、ウトロ温泉地区の主要ホテルなら無料送迎してくれますので、私のような運転苦手なタイプの方には、おすすめです。