こんにちは!
つくば市在住、大人に絵本を読んでいる、絵本セラピスト🄬らくちゃんです。(プロフィールはこちら)
今回、中学生の息子たちと北海道は知床に行ってきました。
世界自然遺産に指定されている知床の自然を見たくて、ネイチャーガイドさんが案内してくれるツアーに参加しました。
午前中は、『遊歩道の無い原生林を歩こう!知床ウトロ・森歩き 絶景ツアー』で、ヒグマの痕跡があちこちに見られる、手つかずの自然の森を散策、息をのむ絶景を堪能しました。
午後は、『カムイワッカ シャワークライミングツアー』で、温泉の流れる秘境の滝を沢登り。
温かい清流を歩くという、貴重な体験をしました。
そして、夜は『シリエトク ナイトツアー』で、夜の冒険へ。
(2021年7月24日訪問。気象条件や感染症のまん延状況により、情報は変わる場合があります。)
深い闇と満月と野生動物
『シリエトク ナイトツアー』で体験したことで、印象的なことは3つありました。
「深い闇」と「満月」と「野生動物との出会い」です。
深い闇
ウエネウサルみどりの「まるごとパッケージツアー」、最後は「シリエトク ナイトツアー」です。
「シリエトク」とは、「知床」の語源と言われるアイヌ語。
「ナイトツアー」では、昼間のツアーでは起点となっていた「知床自然センター」はもう閉まっていますので、ウトロ温泉地区のホテル送迎になります。
参加者それぞれのホテルから、車に乗り込みいざ「知床国立公園」へ。
知床国立公園には、電気が通じていないそうです。
なので、道路の街灯もありません。
国立公園に入る手前の幌別橋から見えるウトロ港の夜景を見て、しばし文明の光とのお別れです。(車のライトと、ガイドさんの持つサーチライトはありますが)

橋の下にも、サーチライトを当てて何やら探していました。
時には、ここにヒグマや鹿が来ていることがあるそうです。

残念ながら、この日は何も来ていませんでしたね。
では、いざ知床の夜の森へ。
まずは、昼間に森歩きをしたあたりに車を止めます。
昼間のツアーでやったように、「人間が来てますよ~」とヒグマに教える合図。
手を叩いて音を出し、「オイ、オイ!」と大きく鋭い声で叫びます。
大型動物が繁みを動く音がしないのを確認したら、車のライトを消し、ガイドさんの手持ちのサーチライトも消してみます。
街灯や町明かりのない、深い闇。
普段、なかなか体験することはできません。
森の香り、木々の音、参加者の足音と息遣い・・・五感が研ぎ澄まされます。
ここで、ガイドさんがサーチライトをつけて、繁みの一点を照らします。

北海道開拓時代の遺物。当時使っていた農機具の一部のようです。
保護区となっているため、入植者の生活の痕跡がそのまま残っています。
昼間に聞いた歴史の話。
夜に訪れると、当時の人が、ヒグマのいるこの深い闇の中で暮らしていたことにも、思いが至ります。
満月
この日はちょうど満月でした。
昼間に訪れた秘境「カムイワッカ」に通じる未舗装道路の入り口あたりで車を止めます。
見上げると、連山の山影と見事な満月。

満月も見事でしたが、実は月が出ていなければ、素晴らしい星空が見られるとのこと。
天の川までくっきり、満天の星空。
ガイドの島貫さんのスマホ写真を見せてもらいましたが、まるで特殊な高性能カメラで撮ったような星空写真でした。
見事な満月だったのは、幸か不幸か・・・
いつか、新月の日に再度行ってみたいものです。

野生動物との出会い
生き物好きの私が、ナイトツアーで一番楽しみだったのは、野生動物を見ること。
ヒグマに遭遇してしまうのは怖いけど、かわいいキタキツネやエゾシカ、できたらしまふくろうなんかも見てみたいものです。
車を走らせていたら、さっそく道路わきに、キタキツネが出てきてくれました。


最初は、「わぁ~、キタキツネだ~!」と大興奮していたのですが、本当にあっちこっちに現れるんです。
いっぱいいるんですね。
崖の中腹のしげみに、光る眼が!
エゾシカ発見!遠いですが・・・

そしてまたキタキツネ。

しまふくろうには、会えませんでした。
絶滅危惧種ですからね、そう簡単には見られませんね。
しまふくろうが見たいと思ったのは、「しまふくろうの森」(前川貴行 あかね書房)という写真集がきっかけでした。
とても美しく力強いしまふくろうの姿と森の様子をとらえた、迫力のある写真集です。
この神々しい生き物と森を、いつまでも残していきたいですね。
キタキツネのこと
今回のツアーで、たびたび現れてくれたキタキツネですが、車の前に出てきた一匹の尻尾の毛が、バサバサでまだらになっているのが見えました。
ガイドの島貫さんの言うには、「皮膚病になっているのだと思います」と。
人間が良かれと思って与える食物。
そこには、自然界にはありえない高い脂肪分や糖分、食品添加物などが含まれています。
そういうものを消化しきれないキタキツネは、そこから免疫力を下げ、病気になってしまうのです。
また、キタキツネかわいさに、ドッグフードなどを道端に置いていく人もいるといいます。
当然、キタキツネは簡単に手に入るおいしいエサに味をしめ、たびたび道端に出てきます。
彼らは、車が「おいしいエサをくれるもの」と認識し、近づいてくることで、交通事故も後を絶ちません。
もちろん、キタキツネに限らず、ヒグマやエゾシカといった他の野生動物にとっても、人間が置いていく食べ物が、彼らの生きるルールを乱し、バランスを崩してしまうことに変わりないのです。

動物園やファミリー牧場などで「えさやり」が人気のアトラクションになるように、人間にとって動物にえさをあげるのは、楽しいものですよね。
しかし、その刹那的で身勝手な行為が、どんなに残酷なことか。
ネイチャーガイドさんに連れて行ってもらうツアーだからこそ、知ることができました。
詳細情報
今回参加したナイトツアーは、「ウエネウサルみどり」の「シリエトク ナイトツアー」です。
開催期間 | 2021年4月20日~11月8日 ※状況により開催の可否が変わる可能性があります。お出かけ前にご確認ください。 |
所要時間 | 約1時間半 20時半~22時 ※送迎の場所によって、多少前後します。 |
参加料金 | 大人:3,500円 子供(12歳以下):1,500円 グループ割引やオプション料金はお問合せください。 |
昼間のツアーは、こちらもおすすめ。
「まるごとパッケージ」で、一日お世話になったネイチャーガイドの島貫さん。

おかげで、とても楽しく、学びの多い一日になりました。
時間が限られているからこそ、初めて訪れる知らない土地だからこそ、ネイチャーガイドさんに案内をお願いして大正解でした。
いつかまた、季節を変えて再訪したいと思います。