こんにちは!
つくば市在住の主婦、らくちゃんです。(プロフィールはこちら)
この夏、わけあって中学生の息子たちと北海道に行ってきました。
まずは世界自然遺産の知床で、ネイチャーツアーに参加し、雄大な自然を堪能。
その後、網走に移動し、流氷が来る極寒の町にある「博物館 網走監獄」に行ってきました。
なかなか行けない貴重な経験でしたので、ご紹介します。
(2021年7月25日訪問。情報は、天候や感染症の拡大状況により変わる可能性がありますので、お出かけの際は現地にご確認ください。)
博物館 網走監獄ってどんなところ?
網走と言えば・・・「番外地」というイメージでした。
かなり昔の、高倉健主演の映画「網走番外地」。
見たことはないのですが、なぜかこのタイトルがすぐに思い浮かびます。
日本一過酷で、脱走の難しいと言われた刑務所。
今回、網走郡に所用があったという滅多にないチャンスでしたので、有名なこの施設を見学してきました。

今まで勝手に抱いていたイメージは、「極悪非道の重罪人が、最終的に行き着くところ」という恐ろしいものでした。
しかし、訪れてみて知ったのは、北海道開拓の歴史を今に語り継ぐ、貴重な文化財であるということ。
特に、広大な敷地内には、重要文化財に指定された貴重な建築物も多く、とても見ごたえのあるものでした。
それにしても、この日の網走は、イメージとは真逆の猛暑。
しかも、「博物館」と言ってもエアコンのない往時の建築物が、広い敷地内に点在しているのを、歩いて見学するのです。
真冬はマイナス20度にもなるという過酷な環境ですが、真夏もかなり過酷な暑さを体験することになりました。

独断と偏見で選ぶ3つの見どころ
こういう博物館や史跡は、見る人の興味のツボによって、感動するポイントや印象に残ることが違ったりします。
建築が好きで、知識がある。
北海道開拓史に興味がある。
任侠映画ファンである。
高倉健の足跡をたどりたい。
有名な観光地はとりあえず行きたい。
などなど。
なので、ここはあくまで私にとって印象的だった3つの見どころをご紹介します。
1.重要文化財「舎房及び中央見張り所」の迫力ある美しさ
広大な敷地の奥にある「舎房及び中央見張り所」は、5棟の舎房が放射状に広がる形になっています。

私は、建築の知識があるわけではないですが、神社仏閣などの古い建造物が好きです。
年月を経た木造建築物が持つ重み、細部の意匠や工夫には感動をおぼえます。
今回訪れたこの「舎房及び中央見張り所」も、圧倒されるような迫力を感じました。
重要文化財に指定されているこの建物は、明治45年建築。
刑務所の施設としては日本最古であり、木造の行刑(ぎょうけい)施設としては、世界最古だそうです。
見張り所が中心にあり、そこから一目で5棟の放射状に広がる舎房が見渡せます。



窓が多く、明るく見えますが、これを破るのは至難の業だそうです。
舎房の廊下には、天窓がつけられていて、光が射しこんでいます。


舎房の扉は、重厚な感じです。
堅い「ヤチダモ」という木で造られていて、外から施錠されています。


この舎房は、1984年まで網走刑務所の獄房として、72年間にわたり使われていたそうです。
37年前まで・・・
ということは、もしかしたらここに暮らした体験者がまだご存命かもしれません・・・
2.蝋人形の不気味な存在感
博物館の中には、囚人たちが作業をしたり、暮らしたりしていた様子を再現した蝋人形が随所にあります。
これがまた、等身大でなかなか不気味です。
まずは、入り口を入って、正門のすぐ横になる水門にはこんな蝋人形が。

網走川を水路に利用して、物資を運び入れたりしていたそうです。

人形とわかっていても、不気味なものです。
これは当時の囚人の枕が、一本の丸太だったことを再現しています。
丸太の一端を叩いて、寝ている囚人を一度に起こしたそうです。



生活の様子、作業の様子などが再現されています。
が、なんと言っても一番インパクトのあるのが、「浴場」の再現。

翌日の夜、東京五輪の男子バスケットボールの試合がありました。
息子はバスケ部ですから、ホテルの部屋で盛り上がって観戦していたわけですが・・・
日本チームと対戦する、相手チームの選手の腕に踊る模様を見て、ここの蝋人形を思い出さずにはいられませんでした・・・
3.網走監獄の歴史
重罪人が送られる、地の果ての監獄・・・
そんなイメージしか持っていませんでしたが、実は北海道開拓は、囚人労働なくしてはなしえなかったことを、初めて知りました。
博物館の入り口を入って、まず正面にあるのがこの建物「旧網走監獄庁舎」(重要文化財)です。

レトロで素敵な建物じゃないですか。
明治期の典型的な官庁建築スタイルだそうです。
今は、展示コーナーと物販コーナーがあり、歴史や建築技術の説明などが見られます。
明治初期、北海道の開拓を急いだ政府は、囚人を労働力として使うことを考えたそうです。
当時の囚人は、極道や殺人犯などではなく、時代の転換期に士族の反乱などから捕えられた政治犯や思想犯でした。
北海道の大地を貫く道路や鉄道、農地を切り拓いたのは、囚人たちだったとのこと。

また、敷地の中ほどに、「監獄歴史館」があります。
ここは平成22年にできた新しい建物で、クーラーがきいています。
猛暑の中の見学で、ぐったりしたところでホッと一息。
ここでは、中央道路の開削をテーマにした映像が、体感シアターで見られます。
その他、独房の部屋の再現や、脱獄犯で有名だった囚人の生い立ちから脱獄人生がストーリー仕立てで見られたりします。
屋外の見学に疲れたら、休憩しながら歴史を学ぶのに最適な施設ですね。
基本情報
アクセス:車がおすすめです。
最寄りの駅は、JR網走駅ですが、そこから路線バスで10分ほど。(本数が少ないです)
徒歩だと40分ほどかかるそうです。
最寄りの空港は、女満別空港で、そこから車で20分くらいです。
開館情報:年中無休 9:00~17:00
※季節により、時間は変動します。また、感染症まん延の状況によって、開館日時が変わる可能性があります。
入館料金:
大人 | 1,00円 |
大学・高校生 | 770円 |
小中学生 | 550円 |
団体割引 | 20名以上 2割引き |
インターネット割引券 博物館の公式サイトにインターネット割引券があります。 これを印刷するか、表示して提示すると割引になります。 | 10%OFF |
館内施設:
ミュージアムショップと喫茶コーナーが、「旧網走監獄庁舎」内にあります。
その他にも、出口近くに、お土産屋さんがありました。
また、「監獄食堂」が、入り口受付手前にあります。
網走刑務所の受刑者が食べている現在のメニューを「監獄食」として提供しています。
利用しませんでしたが、メニューを見る限り、結構豪華です。


広い敷地を持つ「博物館網走監獄」は、早回りで1時間、ゆっくり見て歩いて2時間が目安です。
風雪に耐えて、100年の時を刻んだ木造行刑(ぎょうけい)建築に触れ、北海道の開拓史を学び、敷地内の豊かな自然を見ながら過酷な季節の中での暮らしや作業に思いをはせる・・・
なかなか貴重な経験でした。
機会があったら、ぜひ訪れてみてください。
