こんにちは!
大人に絵本を読んでいる、絵本セラピスト🄬らくちゃんです。(プロフィールはこちら)
「わたしが変わると、世界が変わる!?」というテーマで、大人に絵本を読みました。
自分が変わることで、周囲に変化を生み出す「主体変容」について考え直してみたくて、選んだテーマと数冊の絵本。
そこから感じたこと、気づいたことは人それぞれです。
前回は、「となりのたぬき」(せなけいこ作)を取り上げました。
今回ご紹介するのは、「うまれかわったヘラジカさん」(ニコラス・オールドランド:作 落合恵子:訳 クレヨンハウス)です。
絵本から受け取るメッセージは、人それぞれ。
それどころか、読むタイミングや、自分で読むのか、読んでもらうのか、自分の状況や心理状態によっても、感じることが違ったりするから、面白いと思います。
今回は、「主体変容」について思いをめぐらしていた私が「うまれかわったヘラジカさん」を読んで、こんなことを感じました。
「これは、うまれかわる極意であり、変容のステップだ!」
機会があったら、ご自分はどんなことを感じるのか、手に取って読んでみてください。
あらすじ
森に、ちょっとかわったヘラジカさんがいました。
友だちのクマとビーバーが水たまりで遊んでも、たこあげをしても、スキーをしていても、ヘラジカさんは一緒に遊びません。
ぬれるのがきらいだったから。
つよいかぜがきらいだったから。
さむいのがきらいだったから。
でも、「ぼくって、ほんとにこのままでいいのかな?」とヘラジカさんは思いました。
ヘラジカさんは、思い切ってヨットで旅に出ることにしました。
大嵐に遭い、流れ着いた島で、ヘラジカさんは自分で飲み水を探し、小屋をたて、食料をとって・・・
そして、友だちもできました。
なんでもやってみることにしたヘラジカさんは、友だちのカメさんと一緒に、なんでも楽しみ、素晴らしい日々を送りました。
あるとき、大きな船が通りかかり、ヘラジカさんはその船に乗せてもらって、家に帰ります。
久しぶりに会った友だちのクマとビーバーに、
「がけから とびこんで あそぼうか」
なんて、ヘラジカさんが言ったもんだから、二人はもうびっくり!

Step 1 感じる
このヘラジカさんは、ともだちが楽しく遊んでいても、「ぬれるのがいや」「つよいかぜがきらい」「さむいのがきらい」と言って、一緒に遊ぼうとしませんでした。
べつにそれならそれで、いいじゃないですか!
きらいなことを無理してやらなくても、友だちでいることはできるはず。
実際、ここに登場する友だちのクマやビーバーは、一緒に遊ぼうとしないヘラジカさんを責めたり、バカにしたりはしません。
でも、ヘラジカさんは思っちゃったんです。
「ぼくって ほんとに このままで いいのかなあ」
この、「まず感じる」ことがスタートだと思います。
「やらなきゃいけないこと」で日々追われていると、自分の心の声に耳をすませる余裕がなくなり、感じるセンサーが鈍くなってきます。
自分らしく生きられているか?
自分のやりたいこと、ワクワクすることができているか?
このままで、いいの?
どんな自分でいたい?なりたい?
自分に問いかけること、ありますか?
まずは、そこを感じるセンサーをオンにしましょう。
Step 2 やってみる
そう思ったものの、ヘラジカさんはどうしていいのか、わかりませんでした。
で、どうしたかというと・・・
いっしょうけんめい考えたり、
インターネットしたり、
うらないをしたり、
おいのりをしたり、
よぞらをずっと見上げたり、しました。
結局それで答えは見つかりませんでした。
でも、これって、無駄なことだったのでしょうか?
ここの部分、私、と~っても共感しました。
「やってるわ、私も」ということばかりです。
迷っている時、閉塞感にさいなまれている時、変えたい、変わりたい時、想定外の事態で途方に暮れている時・・・
私は、とりあえず書物に答えを探しに行きます。
自己啓発、脳科学や心理学、ハウツーもの、尊敬する人のエッセイ、スピリチュアル、宗教・・・
インターネットも見ます。
気になる学習法やプログラムの口コミ、レビュー、お客様の声、延々と読んでいたりします。
占いは、妄信はしないけど、ちょっと気になったり。
数秘やカードリーディングをしてもらったこともあります。
パワースポットの神社に行けば、おみくじ引いて、じっくり読み込みます。
新月の日に、願い事を10個書き出すことを続けていた時期もあります。(今でも時々やります)
これってバカげたこと?
意味がないことでしょうか?
いえいえ、こうやって自分で問いを立てて、いろいろ探しに行くことで、「感じるセンサー」がオンになっていきます。

Step 3 思い切ってとびこむ
いろいろやってみたことは、「試行錯誤」だったり、「迷走」だったりします。
が、その段階を経て「よし、やってみよう!」と思うことがあるものです。
ヘラジカさんの前に、帆をあげたヨットが現れたように。
ヘラジカさんは、ヨットに乗り込みました。
その行動だけ見ていると、何の計画性もない、思いつきに見えます。
いろいろやってみたけど、なにもわからなかったヘラジカさん。
「なんにもわからないなら、なんでもやってみよう」
でも、いままでいろいろやっていた中で、無意識に「これはピンとくる」「こっちは違うな」と、小さな取捨選択や検証を繰り返していたのです。
だから、ヨットを見て、「乗ってみよう」と思った。
山を越えていくのではなく、今の場所で何かを創造するのでもなく。
その直感って、バカにできません。
情報やデータに基づいて、ロジカルに判断したわけじゃなく、直感に従ったのです。
その直感って、どこからくると思います?
今まで自分が体験したこと、学んだこと、見聞きしたこと、考えたこと、感じたこと・・・が全部入っている潜在意識が、その膨大な「自分のデータベース」から導き出した「YES」です。
それに従うのって、一種の「自己肯定」だと思うのです。
子どもの成長や能力開発に自己肯定感が不可欠と言われるように、ヘラジカさんは、無人島でサバイバルをして、成功体験を重ね、さらに自己肯定感を高めていきます。
親友もできて、二人で楽しい時間を過ごし、「すばらしい まいにちでした」と。
ヘラジカさんは、もじどおり「うまれかわった」ようになりました。
直感について、今回のアイディアのもととなった参考図書はこちら:
「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか?」(山口周 光文社新書)
「主体変容」で変わるもの
さてさて、「主体変容」は、普段から行動指針として心がけたいものですが、絵本をとおして改めて多角的に考えてみると、いろんな考え方があることに気がつきました。
「主体変容」とは、松下幸之助氏の言葉で、自分が変わることで、周りに変化を生み出すという考え方です。
困難や問題があったとき、他人や環境のせいにするのではなく、自分にできることに目を向け、変えていくことで、周囲の人や状況も変化していきます。
でも、ヘラジカさんの場合、自分が変わったことで世界が変わったわけではありません。
ヘラジカさんが住んでいたところも、ヨットで旅に出て、流れ着いた無人島も、そこには前から変わらず自然があるだけ。
寒い日もあれば、嵐の日もあります。
波の強い日、穏やかな日、そして友達がいてくれて・・・
でも、「ぬれるのがきらい」「さむいのがきらい」「強い風がきらい」と言っていたヘラジカさんが、「すばらしい日々」と思うようになったのです。
世界は変わらないけど、ヘラジカさんの見える世界が変わったと言えます。
行動してみて、見える世界が変わり、味わえる感情も変わりました。
それって、人生が変わったってことですよね。
世界自体は何も変わっていないのに。
自分の中にわきおこる違和感や欲求をキャッチし、いろいろやってみる。
そして、行動してみると、見える世界が変わってくる。
そんな「主体変容」もありなのかな、と思います。
どんな世界が見たいか、そして体験したいか。
それは自分の中にあると言えますね。
