こんにちは!
大人に絵本を読んでいる、絵本セラピスト🄬らくちゃんです。(プロフィールはこちら)
毎月Zoomを使って絵本セラピーを開催しています。(絵本セラピーってなに?)
前回のテーマは、「思った、動いた、変わった!」。
5冊の絵本を読んでいき、参加者同士で感じたことをわかち合ったり、簡単なワークの答えをシェアしたりするのですが、そこで読んだ一冊をご紹介します。
「せかいでさいしょにズボンをはいた女の子」はこんなお話
今回、この本を読みました。
作:キース・ネグレー
訳:石井睦美
光村教育図書

あらすじ
今から約150年前、女性はズボンをはいてはいけないという常識に疑問を投げかけ、非難されても抵抗した少女がいました。 後に女性初の軍医として活躍し、フェミニストとして知られたメアリー・E・ウォーカーの幼い日を描く。
(出版社ホームページ作品紹介より引用)
https://mitsumura-kyouiku.co.jp/ehon/249.html
女の子がズボンをはく。 今では当たり前のことが、許されない時代があった。
そんなことって、考えられる?
それも、たった150年前の本当の話。
女の子が着ることができたのは、きゅうくつなドレスだけ。
動きにくいし、息をするのも楽じゃない。
だけど、それがおかしなことなんて、みんな思わない……
でも、メアリーだけはちがった!
彼女はズボンをはいて、町へ出かけた。
すると、とにかくもう大騒ぎ。
「とんでもない!」 「ズボンなんかはいて、後悔するぞ」
みんなの言葉には屈しないメアリーだったけれど、やっぱり胸にささる。
その夜、メアリーは、いつまでも眠れなかった。
翌朝、メアリーは、誰がなんといおうとかまわないと決心し、ズボンをはいて学校に行った。
学校の前は、相変わらず大騒ぎ。
教室の中も同じだろうと、覚悟をして教室のドアを開けたら・・・
このお話から受け取るメッセージは様々
この絵本を読んだあと、4人程度のブレイクアウトルームにわかれて、自由に感じたことをわかち合っていただきました。
「自分の思いを貫く勇気に感動した」
「お父さんが理解者だったから、行動できたのだと思う」
「子供の頃、いつから男女の違いを意識したのだろう・・・」
面白かったのは、葛藤するメアリーに寄り添う理解者のお父さん。
「にんげんって、あたりまえだとおもっていたことが かわってしまうのが こわいんだよ」
と。
「じゃあ わたしは やっぱり、ドレスをきたほうがいいの?」というメアリーに、
「そんなことは いってないよ」
と答えます。
なかなか、そんなことを言える親はいないと思います。
(少なくとも、うちの親だったら「やめて!みっともない!」と言うでしょう)
このお父さん、絵本の中では左右違う色の靴下をはいています。
ここに注目された方がいました。
「こういうセンスのお父さんだから、メアリーのことも認めてくれたのかも。きっとお父さんも世間の当たり前と闘っていた人だったのよ!」と。
気がつきませんでした!
絵本セラピーをやるために、何度も読み、スライドを作ったりしていたのですが、お父さんの靴下の色違い・・・ノーマークでした。
絵本って、たった32ページ、文字も少なく、すぐ読み終わってしまうと思っていたら、とんでもない!
侮れません。

絵本が思考のスイッチを入れた
さらに、会の終了後、服飾文化のことや、「常識」や「正義」が発展して、「同調圧力」になることなど、昨今のコロナ禍の状況に思いをめぐらせた深い考察を、ご自身のフェイスブックにアップしてくださった方がいました。
また、先駆者の苦労を、ご自身の育児休暇を取られた時の体験を思い出し、メルマガ、ブログに書いてくださった方もいました。
尊敬する絵本活動の大先輩、絵本読み聞かせ講師上甲知子さん(とんちゃん)のブログです。
一冊の絵本を一緒に読んだことで、こんなにも深い思いや考察の連鎖が生まれたことが、本当にすごいと思います。
きっと、一人で黙読しただけだったら、ここまでの気づきや気持ちの高ぶりは生まれなかったかもしれません。
絵本セラピーの場の力を感じる体験になりました。
