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韓国語翻訳者かみやにじさんが教えてくれたこと

先日参加した「子どもの本  翻訳フォーラム」で、パネリストとして登壇されていた、韓国語翻訳者のかみやにじさんのお話が印象的でした。

 

かみやさんがなぜ韓国語の絵本の翻訳をするようになったのか?

まだ韓流ブームも韓国料理の人気もなかった頃、かみやさんは韓国に留学したそうです。

そこで、韓国の人達に親切にされ、素敵な体験をいっぱいして帰国したのですが、日本ではまだ韓国のことはあまり知られていませんでした。

あの素敵な国を、素晴らしい人々を、日本人にも知ってもらいたい!

そんな思いから、翻訳の仕事を始めたそうです。

とりわけ、歴史問題が中学校の教科書に記載されるようになった時、日本の子供たちが初めて知る韓国という国の情報が、このような不幸で衝撃的なものだと、その事実を受け止められず、拒否反応を持ってしまうのではないかと危惧したとのことです。

それならば、教科書で出会う前に、絵本で韓国を知り、理解し、親しみを持っていてもらいたい。

そんな思いから、絵本の、それも昔話や歴史物の翻訳に情熱を傾けてきたのだそうです。

 

さらに、翻訳におけるこだわりと高い視点に、はっと目が覚めるような衝撃を受けました。

今回解説された「金剛山(クムガンサン)のトラ」の中で、主人公が父親の仇のトラを倒すために、体を鍛え武術の修行を積む場面。

様々な修行について書かれたページの真ん中には、滝に打たれている様子が描かれています。

なのに、原文にはそれが書かれていなかったのだとか。

この絵で、そこに言及しないのはいかにも不自然と思ったかみやさんは、「たきに うたれ」という原文にはない一言を入れることにしたそうです。

 

また、絵本はページをめくるタイミングと、文章の展開の息が合っていないといけません。

言語によって、そのタイミングが微妙に違う時があります。

だから、そこを合わせるために、ページの最後の一文を次のページに、または次のページにある一文を前のページに移動することもあるそうです。

 

絵本の翻訳は、原作の物語世界をできる限り忠実かつ違和感なく日本語で再現すること。

だから、原文の文章を日本語に置き換えるだけの作業とは、全くの別物だと考える、とかみやさんは言います。

なんとクリエイティブな仕事でしょう!

 

実は、私は以前にもかみやさんにお会いしたことがあります。

今年のゴールデンウィーク、上野公園で開催されていた「上野の森  親子ブックフェスタ」で、JBBYのブースにいらっしゃいました。

 

あの頃、オットの仕事の都合で家族でタイに引っ越す予定で準備していたのに、会社から待ったがかかり宙ぶらりんの状態でした。

タイ語翻訳の派遣の仕事も辞めてしまっていて、何となく「大人に絵本」という活動に惹かれ始めていた頃でもあります。

「タイ語から翻訳された絵本はありますか?」などと話しかけ、自分はタイ語の翻訳をやっていること、ビジネス文書の翻訳しかしていないこと、いつか絵本の翻訳をやってみたいと思っていることなどを、とりとめもなく話してしまいました。

かみやさんは、終始柔らかな微笑みをたたえ、私の話を聞いてくださいました。

そして、何年か前にタイの本もIBBYオナーリストに入っていたことなども教えてくださいました。

そこで私は、「金剛山のトラ」を購入し、かみやさんのサインをいただいたわけですが、憧れのような気持とともに、「タイの絵本を翻訳する」というぼんやりとした夢が目標になったのは、ここからだったような気がします。

 

あれからちょうど半年が過ぎての再会でした。

果たして私はタイの絵本を翻訳したでしょうか?

あの日と変わらない優しい笑顔で「たしかタイ語をされているのですよね。よく覚えてますよ」とかみやさんに言っていただいた時、何もできていない自分に後ろめたい気持ちになってしまいました。

この半年間、何をしてきたでしょうか。

原田メソッドの認定パートナーとなり、基礎絵本セラピストとなり、来月の絵本セラピスト認定試験に向けてセラピーの実践も重ねました。

ビジネス書のタイでの展開について考え、その方面に詳しい方の話を聞きに行き、業界の実情を知ることもできました。

絵本のこと、タイ語のこと、日々考えたことをブログに綴って発信することで、じわじわといろんなご縁がつながってきている実感もあります。

今は、仇のトラ退治に出かける前に体を鍛えているところ。

いつか大願成就できるよ、とかみやさんが訳したこの絵本から応援メッセージをいただいた気がしています。

 

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中山純子

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